μBITX Wiring Up

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本記事は、μBITX 販売元である HF Signals 社を設立された Ashhar Farhan 氏より許諾を受け掲載しているものではありますが、同社、Farhan 氏、並びに私自身も、本ブログに記載の事柄に責任を持つものではなく、すべては皆さんの自己責任にてご判断、ご実施頂きますようお願い申し上げます。

μBITX の配線(Wiring Up)は、下図のようになります。図上部には、電源周りの接続、図右にはアンテナとの接続、そして一番のメインは、図下部の Raduino(デジタル)との接続とメイン基板(アナログ)との接続があります。

お薦めは、上記配線図を印字し、作業中いつでも確認できるよう準備してから、以下の説明を読み進め、実際の作業に取り掛かられてください。

まず最初に、注意事項です。

★【最重要】Raduino をメイン基板に接続した状態で通電する場合は、上記配線図中の『KEYER』箇所(左下部)にある『4.7K』Ωのプルアップ抵抗を必ず配線してください。(すぐには壊れないようですが、キャリアを乱発信したり等、アナログ基板にダメージを与える可能性があります)

★電源用ACアダプタは 12V、3A 以上(推奨 5A)のものを用意してください。ノイズの少ないものが理想ですが、普通の黒い AC アダプタで、まずは大丈夫です。念のため、クランプフィルタ(通称:パッチンコア)を数個挿入するのが良いでしょう。

★ノイズを防ぐ意味から、ケースは金属製のものが理想的です。なお、終段(IRF510×2)のヒートシンクには高い電圧がかかっていますので、金属ケース自体には触れないよう注意ください。一方で、アンテナやスピーカへの接続線は、ケーブルをより合わせ、できるだけ短く配線するか、1.5D-2V 等同軸ケーブルに切り替えて配線します。

 

1.ケースを作る。

金属ケースが理想ですが、μBITX 本体のそばに、他の無線機や PC などがないようであれば、プラスチックケースでも問題ありません。要は、ノイズを得るのと、ノイズを出すのを、抑制し、良好なアース(グランド)が得られれば良いのです。アースに複数個所で落とす場合は、アースループ(グランドループ)にご注意ください。

また、なんならケース自体、しばらく作る必要はありません。私は、ホームセンターで売っていた、横30cm × 縦10cm、厚さ 1mm のアルミ板に穴を空け、家にあった木のきれっぱしにネジ止めし、製作途中のケース代わりとしています。ノイズはバンバンでますが(笑)、mod はし易いです。

この時の注意としては、上記接続図中の KEYER、MIC、SPEAKER の3つのステレオジャックのネジ部は、導体のフロントパネルで互いにアースに落ちている前提となります。プラスチックなど絶縁体のフロントパネル、またはフロントパネル自体使わずに試験的に組み上げる場合は、ジャックのネジ部を互いに接続してしまいます。

左のフロントパネルの写真では、3つのステレオジャック用コネクタが見えますが、もしパドルをお使いでしたら、最初から4つの穴を空けておくことをお勧めします。パドルの接続に関しては、後程の「mod 編」で解説して参ります。

それ以外、フロントパネルには、VFO 用の穴(右利きの人はパネル右側が便利)と音量調整用のボリュームの穴が必要です。左の写真では、左上にもう一つ穴が空いていますが、たぶん電源スイッチか送信ランプか、何かを付けたかったのでしょう。

なお、パネル裏面には、配線を間違えぬよう、どのコネクタが何のコネクタだか記述しておくのが良いでしょう。

また、各コネクタには、5つの端子が出ておりますが、μBITX コミュニティでは、端子番号が一般的なものとは異なるナンバリングをしており、注意が必要です。

ステレオコネクタ注)④と⑤は、本キットの説明には登場しないので、適当にナンバリングしました。

 

2.電源部の配線

まず最初に、電源部を作成します。AC/DC アダプターは、12V 5A(12 ボルト 5 アンペア)のものが推奨されますが、mod(改造)しないのならば、2~3A でも十分動作します。将来的に、AGC を内蔵したり、ALC を付けたり、画面を Nextion のタッチパネルにしたり等を考えられているようでしたら、4~5A の AC/DC アダプタを準備ください。

この時注意なのは、『センタープラス』と呼ばれる、コネクタ端子の真ん中が「+」(プラス)になっているものをご利用ください。最近のものは多くがセンタープラスですが、古いアダプターや楽器の世界(エフェクター)のアダプターは、センターマイナスの製品も多く見かけます。センターマイナスでも、注意して製作すれば問題ありませんが、人間は間違いを犯す生き物ですので、面倒な読み換えをしなくて済むよう、初めからセンタープラスの AC/DC アダプターを用意しておくのが、手痛いケアレスミスを防ぐのには有効かと思います。

キットには、背面3端子の DC コネクタ(メス)と、センターマイナスの AC/DC アダプターをを繋げた時にショートさせるためのダイオード 1N4007、赤黒茶3色の線がコネクタにつながった DC ケーブルが含まれています。まずは、以下の写真をじっくり見て、これから何をするのか、理解してください。

上の写真は、AC/DC アダプターを指す側の裏、DC コネクタの背面です。

DC コネクタ背面から見て、右手大き目の端子(以下、DC コネクタ端子②)が AC/DC アダプターの中心部(プラス)、左手下の端子(以下、DC コネクタ端子①)が AC/DC アダプターの外側(マイナス)とつながります。

中央上部の端子は、AC/DC アダプタがつながらない場合につながる端子で、例えば AC/DC アダプターから給電しない時は内蔵バッテリーから給電する等に用いられますが、今回の組立てでは利用しません。

さて、この端子①と②の間をダイオードでつなげることで、センタープラスの AC/DC アダプターを接続時には、端子①、②間に電流はながれず、μBITX メイン基板に電流が送られます。間違えて、センターマイナスの AC/DC アダプターをつなげた場合、端子②➡端子①方向に電流が流れ、メイン基板が守られるという、ちょっと乱暴な保護回路となっています。将来的には、ヒューズを用いた mod がいくつかありますので、それを実装するのが安全かと思われます。

そして、電源ケーブルの BLACK 線を端子②に、RED、BROWN の線はまとめて端子①にハンダ付けします。下の図にはスイッチっぽい記述がありますが、電源スイッチはキットに含まれていません。おいおいご自身で mod されてください。

実際の配線は、上図のような感じです。

  • まず、ダイオードの灰色のリングがある方のリード(カソード)を DC コネクタのプラス側(端子①)に通し、ダイオードの反対側のリード(アノード)を DC コネクタのマイナス側(端子②)に通します。

  • 続いて、DC ケーブルの「赤」と「茶」を DC コネクタのプラス側(端子①)、「黒」をマイナス側(端子②)に結びつけます。

  • 両端子をハンダ付けします。

ダイオードの向きを間違えると、アダプターが壊れ、家のブレーカーが落ち、停電するかもしれません。作った後、ちょっとだけ時間を空け、複数回ダイオードの向きを確認すると共に、テスターがあれば通電も確認してください。

また、DC ケーブルに「赤」と「茶」の2種類があるのは、基板上に2系統の電源ラインがあるからですが、将来ヒューズ等の追加をするまでは、いまは指示通りに2本をまとめてプラス側に、そのままハンダ付けするので良いようです。

さて、絶対に間違いない!と確信が持てましたら、いよいよ通電テストです。(ドキドキ!)

 

テスターをお持ちでない方は、このテストはスキップして頂いても結構です。また、このテストを長時間やると、メイン基板にダメージを与える可能性もあることから、極めて短時間で済ませるよう留意ください。

【厳重注意】写真にあるとおり、この通電テスト段階では『Raduino』は接続しません!!

メイン基板のみで、テスターを、AC/DC アダプターと、DC ケーブルとの間にシリーズにつなげ、通電テストをおこないます。約 90~110 mA(ミリ・アンペア)流れれば OK です。(多少個体差があるようで、私の場合は 85mA、他のボードでは 120mA 超えという報告もありました)

また、金属製ケースに組み上げている場合は、グランドを『太目のケーブル』でシャーシに落とし、グランド・ループ(アース・ループ)を防ぐようにする必要があります。

 

3.Raduino(デジタル部)の配線

Raduino から出るコネクタは8接点で、フロントパネル側とつながります。キットには8接点コネクタが2個含まれていますので、今後間違えぬよう、そのひとつに “DIGITAL” と油性ペンで書いてしまいましょう。以後、このコネクタを「デジタル・コネクタ」と呼ぶことにします。また、同ケーブルもバラバラしていると扱いしにくいので、「結束バンド」や「ビニタイ」、絶縁テープ等でまとめてしまうのがミスを防ぎます。

デジタル・コネクタのケーブルは、フロントパネルとの接続には十分な長さがありますので、ケースが確定しているようでしたら、不要な部分は切ってしまって問題ありません。また、コイル状にケーブルが巻かれていると、デジタルノイズを増やし、誤動作につながりますので、注意が必要です。

 

3.1.エンコーダの配線

キットには、ボリューム・タイプの部品が2つ含まれています。ひとつは、正に 10kΩの可変抵抗(VR – Variable Register、またはポテンショメーター  Potentiometer とも呼ばれます)ですが、もうひとつはスイッチ付きのエンコーダ(Encoder)で、可変抵抗と違い無限に回せます。

 エンコーダには、回転の信号を出す3端子側と、スイッチの ON/OFF を出す2端子側があります。上の写真では、三端子側を向って右にするようフロントパネルに留めていますので、その通りに組み立てるのが、これまたミスを防ぐポイントになろうかと思います。

3端子側は、写真上部の端子がA、下部がB、真ん中がグランドとなります。(エンコーダ動作原理は、ググって頂くのが確実ですが、簡単に言うと、回転の方向を得るために、2つの端子からタイミングをズラして ON/OFF 信号が出てきます)

 

 

 

エンコーダへの配線は、以下のとおりとなります。

  • デジタル・コネクタの「BLACK」線(Raduino A0 に接続)を、エンコーダ端子Aにハンダ付けします。
  • デジタル・コネクタの「BROWN」線(Raduino A1 に接続)を、エンコーダ端子Bにハンダ付けします。
  • デジタル・コネクタの「RED」線(Raduino A2 に接続)を、エンコーダ・スイッチ側の端子にハンダ付けします。(どちらの端子か記述がありませんが、ひとまず写真と合わせ「下側」とします)
  • デジタル・コネクタの「YELLOW」線(Raduino GND に接続)を、エンコーダ・グランド端子ハンダ付けします。
  • このエンコーダ・グランド端子(写真右、真ん中の端子)は、エンコーダ・スイッチ側の未接続端子(写真では、左上の端子)とつなげます。

 

3.2.PTT(Push To Talk)の配線(マイクそのものではありません)

デジタル・コネクタの「ORENGE」線を、マイク・ソケットの(裏、後ろ側から見て)一番左の端子(上記、ステレオジャック用コネクタの②端子)にハンダ付けします。PTT のグランド線はなく、マイク・モジュールのグランド(ステレオジャック用コネクタのネジ部または③端子)と共有となります。

注)μBITX に付属のマイクロフォン・モジュールは、エレクトレット・コンデンサ・マイク – Electret Condenser Mic と呼ばれるもので、マイクのホット(Hot)側に電圧がかかります。ダイナミック・マイクや、他のコンデンサ・マイクを接続すると、マイク音量が足りなかったり、最悪マイクを壊す可能性があります。まず最初は、キットに付属のマイク・モジュールを使うのがベストです。

※フロントパネルがグランドに落ちていることを確認してください。

3.3.電鍵コネクタの配線

ここでの電鍵コネクタは、縦振り電鍵のためのものです。なお、μBITX は、Raduino 内のソフトウェア(Firmware)で、縦振り電鍵とパドルを切り替えることになります。

回路図上にある、Raduino 側 KEYER 端子に何とも接続していない(ハイ・インピーダンス)状態で本体の電源が ON になると、不規則な打鍵を間違って検知してしまい、送信を繰り返すことで終段トランジスタを壊す等ハードウェアに障害を与える可能性もありますので、注意が必要です。

Raduino 側 KEYER 端子は、必ず 4.7kΩ の抵抗で 5V にプルアップされている必要があります。よって、電鍵コネクタ②端子は、デジタル・コネクタ「青」線(Raduino KEYER 端子)と接続し、プルアップ抵抗を介してデジタル・コネクタ「緑」線(5V Vcc)と接続することになります。

  • デジタル・コネクタの「BLUE」線を、電鍵コネクタ②端子にハンダ付けする。
  • 4.7kΩ 抵抗の片方のリード(極性なし)を、同じく電鍵コネクタ②端子にハンダ付けします。
  • デジタル・コネクタの「GREEN」線を、上記 4.7kΩ 抵抗の反対側のリードにハンダ付けします。

注意!:このプルアップをせずに μBITX の電源を投入すると、本体はランダムに CW 送信を繰り返す可能性があります。

また、デジタル・コネクタ「VIOLET」線(Raduino A7 に接続)は、現行の μBITX では利用されていません。切ってしまっても良いのですが、将来有益な mod のため、巻いて残しておくのが良いでしょう。

 

4.メイン基板(オーディオ部)の配線

もう一つの8端子コネクタは、フロントパネルのマイク・コネクタや、ヘッドフォン・コネクタ、音量ボリューム等、メイン基板からのオーディオ関連信号を接続するのに用います。以後、このコネクタを「オーディオ・コネクタ」と呼びます。こちらのコネクタにも、間違えぬよう油性ペンで “AUDIO” と書いてしまいましょう。

 

4.1.可変抵抗(ボリューム)の配線

オーディオ・コネクタの「GREEN」線、「ORANGE」線、「YELLOW」線を、キットに含まれる可変抵抗に接続します。

  • オーディオ・コネクタの「GREEN」線を、可変抵抗のグランド端子にハンダ付けします。
  • オーディオ・コネクタの「YELLOW」線を、可変抵抗のホット端子にハンダ付けします。
  • オーディオ・コネクタの「ORANGE」線を、可変抵抗のワイパー端子(中央)にハンダ付けします。

※ 原文には、どれがホット端子、グランド端子だか記述がありませんが、写真から判別できるかと思います。可変抵抗の端子の向きを写真と合わせ、注意して配線してください。

 

4.2.マイクの配線

オーディオ・コネクタの「BLUE」線、「PURPLE」線を、フロントパネルのマイク・コネクタに接続します。

  • オーディオ・コネクタの「BLUE」線を、マイク・コネクタの③端子にハンダ付けします。
  • オーディオ・コネクタの「PURPLE」線を、マイク・コネクタの①端子にハンダ付けします。

 

4.3.ヘッドフォンの配線

オーディオ・コネクタの「BROWN」線、「BLACK」線を、フロントパネルのヘッドフォン・コネクタに接続します。(下写真・中央のコネクタ)

  • オーディオ・コネクタの「BRWON」線を、両耳から聞こえるよう、ヘッドフォン・コネクタの①と②端子にハンダ付けします。
  • オーディオ・コネクタの「BLACK」線を、ヘッドフォン・コネクタの③端子にハンダ付けします。

※ ヘッドフォン・コネクタの④、⑤端子をスピーカへ配線することで、ヘッドフォンをコネクタから外している時にスピーカから音を出すことができます。

 

5.アンテナの配線

キットに含まれる、2ピン・コネクタを用いて、メイン基板からアンテナ・コネクタへの配線をおこないます。本配線は、極力短くする必要がありますので、適時短く切ってください。(細めの同軸ケーブル、1.5D-2V 等にて配線するのがお勧めです)

キットに付属の BNC コネクタを利用する場合は、コネクタをケースに装着する際、グランド端子をケースの内側にするよう注意してください。

  • 2ピン・コネクタの「BLACK」線を、アンテナ・コネクタのグランド側へハンダ付けします。
  • 2ピン・コネクタの「BROWN」線を、アンテナ・コネクタの中央・芯線側にハンダ付けします。

 

6.組み上げ

  • ケースに μBITX メイン基板を装着します。
  • Raduino を、メイン基板のコネクタに装着します。この時、互いのコネクタがズレないよう、左右から確認します。
  • オーディオ・コネクタを、メイン基板に装着します。
  • デジタル・コネクタを Raduino に装着します。
  • アンテナ・コネクタ、電源コネクタを、各々装着します。

 

7.試験

  • マイクとスピーカ(ヘッドフォン)を、各コネクタに接続します。
  • ダミーロードを、アンテナ・コネクタに接続します。
  • 3A 以上の 12V AC/DC アダプタを、電源コネクタに接続します。

 

以上

// hiro, JJ1FXF